天使たちの都市
近刊

癒えない傷を抱えた人の心を繊細に描き、世代を超えて読みつがれるロングセラー短篇集

韓国文学セレクション

天使たちの都市

  • チョ・ヘジン/著
  • 呉華順/訳
  • 四六判上製
  • 256頁
  • 2200円+税
  • ISBN 978-4-7877-2223-2
  • 2022.12.15発行

紹介文

《遠のく女にわたしは訊いてみたかった。
これからわたしはどこへ行くべきか、どこへ向かうべきなのか——。》

傷つきながらも声をあげられずにいる人、社会から見捨てられた人たちへの、“同感”のまなざしが光る珠玉の短篇集。

米国に養子に出され、十五年ぶりに一時帰国した十九歳の〈きみ〉、結婚移民としてウズベキスタンから渡韓した高麗人三世の〈彼女〉、父の家庭内暴力の跡をからだじゅうに残している〈わたし〉——。
癒えない傷を抱えた人の心を繊細に描き、世代を超えて支持される七篇の中短篇。

「韓国人男性が女性にやさしいのは知ってるわ。韓国ドラマを毎日観てるから。これからはうちの姉も韓国人よね。だから韓国の男の人が韓国人女性に接するように、同じように大事にしてあげてね。お義兄さんに望むのはそれだけ」

「韓国人と結婚したからって韓国人になれるわけではないってことを、わたしもわからなかった。たとえ運良く韓国籍を取得したとしても、わたしは端から何者にもなれない境界線に佇む人間でしかないの。結局、わたしも父も、同じ列車に乗っていたってわけね。つまり……目的地を持たない貨物列車はいまなお走り続けているのよ。わたしは身ひとつで、行き先もわからない列車の中から外を眺めているだけ」

装画:イシサカゴロウ
装幀:北田雄一郎

  • 立ち読み画像

目次

天使たちの都市
そして、一週間
インタビュー
消えた影
背後に
記念写真
女に道を訊く

作家のことば
日本の読者の皆さんへの手紙
訳者あとがき

著者紹介

チョ・ヘジン(趙海珍/조해진)

1976年、ソウル生まれ。
2004年、中編「女に道を訊く」(『天使たちの都市』に収録)で『文芸中央』新人文学賞を受賞し、作家デビュー。
デビュー以来、マイノリティや社会的弱者、社会から見捨てられた人々など、“他者”の心に思慮深い視線を寄せる作品を書き続けていることで“他者の作家”とも呼ばれ、幅広い読者の支持を得ている、現代韓国文学を代表する作家の一人。
長編『ロ・ギワンに会った』で申東曄文学賞、『かけがえのない心』で大山文学賞、『完璧な生涯』で東仁文学賞、短編集『光の護衛』で白信愛文学賞、短編「散策者の幸福」で李孝石文学賞など、数々の文学賞を受賞。

呉華順(オ・ファスン/오화순)

1973年、東京生まれ。青山学院大学法学部卒業。
慶熙大学大学院国語国文科修士課程(戯曲専攻)修了。
著書に、『なぜなにコリア』(共同通信社)。
訳書に、ソン・スンホン『旅立ち』(エキサイト)、ホン・ファン『準備していた心を使い果たしたので、今日はこのへんで』(扶桑社)など。
共訳書に、『韓国文学の源流 短編選1 1918-1929 B舎監とラブレター』(羅恵錫「瓊姫」、羅稲香「啞の三龍」、書肆侃侃房)、『韓国文学の源流 短編選3 1939-1945 失花』(李孝石「哈爾濱」、蔡萬植「冷凍魚」、書肆侃侃房)など。

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