現代韓国文学を代表する一冊
韓国文学セレクション
夜は歌う
- 四六判上製
- 320頁
- 2300円+税
- ISBN 978-4-7877-2021-4
- 2020.02.15発行
- [ 在庫あり ]
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書評・紹介
- 盛田隆二氏評(共同通信配信:「沖縄タイムス」「京都新聞」「河北新報」「神奈川新聞」ほか全国各紙、2020年3月〜)
- 林浩治氏評「深淵に墜ちていく言葉の積み重なりが文学だ」(「図書新聞」3441号/2020年3月28日号)
- 菊地信義氏選「COVER DESIGN」(「毎日新聞」2020年2月23日)
- 清水知佐子氏「アジア文学への招待」(「毎日新聞」2020年2月12日)
- 斎藤真理子氏「いま読みたい12冊」(「AERA」2020年5月18日号)
- 古川綾子氏「ぜひ読んでほしい韓国文学」(アジアの本の会「アジアへのとびら」2020年度版)
- 増子耕一氏評「朝鮮人組織内で起きた悲劇」(「世界日報」2020年7月5日)
- 古川綾子氏「『82年生まれ、キム・ジヨン』以降、本当に読みたい韓国文学」(TBSラジオ「アフター6ジャンクション」)
紹介文
◎盛田隆二氏評
《詩情豊かな文体に引かれ、手に汗を握って読み進めた。》(共同通信配信)
詩人尹東柱の生地としても知られる満州東部の「北間島(プッカンド)」(現中国延辺朝鮮族自治州)。
現代韓国を代表する作家キム・ヨンスが、満州国が建国された1930年代の北間島を舞台に、愛と革命に引き裂かれ、国家・民族・イデオロギーに翻弄された若者たちの不条理な生と死を描いた長篇作。
代表作といえる本作で、作家は韓国でも知る人の少ない「民生団事件」(共産党内の粛清事件)という日本の満州支配下で起こった不幸な歴史的事件を題材に、人間存在の普遍的真理を小説を通して探究している。
〈国を奪われ、よその土地で暮らすかぎり、僕たちにできるのは僕たちではない他の存在を夢見ることだ。動かなくなった死体だけが自分が何者なのかを声に出して叫ぶ権利があった。そんな叫びを聞くたびに僕は、間島の地で生きていく朝鮮人は、死ぬまで自分が何者なのかわからない存在だということに気づいた。彼らは境界に立っていた。見方によって民生団にもなるし、革命家にもなった。そういう意味で彼らはつねに生きていた。生きていれば絶えず変化するのだから。運命も変わるということだから。〉
〈「一九三三年の夏、遊撃区にいた朝鮮人共産主義者とは誰か」。それに対する正しい答えはない。彼らは朝鮮革命を成し遂げるために中国革命に乗り出すという、二重の任務を負っていた。強硬で勇敢な共産主義者であり、国際主義者だった。同時に、民生団の疑いをかけられひどい拷問を受けても、絶対に自分の正体を明かさない日本軍の手先でもあった。誰も、彼ら自身でさえ、自分が何者なのかわからなかった。
一九三三年に間島の遊撃区で死んだ朝鮮人共産主義者、間島の朝鮮人はそういう人間だった。〉——本文より
装幀:北田雄一郎
目次
一九三二年九月 龍 井
一九三三年四月 八家子
一九三三年七月 漁浪村
一九四一年八月 龍 井
一九三二年九月 龍 井
編註
解説 その長い夜、私たちは歌えない歌、夜が歌う歌……韓洪九
著者あとがき
訳者あとがき
出版社からのコメント
「韓国文学セレクション」刊行開始!
https://www.shinsensha.com/news/2861/