さまよえる「共存」とマサイ

さまよえる「共存」とマサイ

ケニアの野生動物保全の現場から

  • 目黒 紀夫/著
  • 四六判上製
  • 456頁
  • 3500円+税
  • ISBN 978-4-7877-1410-7
  • 2014発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

  • 柳川久氏評「北海道新聞」2014年12月21日

紹介文

《「野生の王国」と「共存」する人びと》

アフリカを代表する「野生の王国」と称賛され、数多くの観光客が訪れるアンボセリ国立公園。地域社会が主体的に野生動物を護る「コミュニティ主体の保全」が謳われる現場で、それらとの「共存」を強いられる人びとの苦悩を見つめ、保全のあり方を再考する。

目次

序章 見失われた共存を求めて
はじめに
1  「コミュニティ主体の保全」をつうじて共存を考える
2 本書の課題

第1章 「コミュニティ主体」の野生動物保全とは何なのか?
はじめに
1 野生動物保全の新旧パラダイム
2  地域社会が主体となる条件
3  共存を考えるための枠組み
4 残された問題としてのコミュニティの主体性

第2章 共存の大地を生きるマサイ
はじめに
1  ウシの民マサイの社会
2  共存の歴史
3  「コミュニティ主体の保全」が生まれた地

第3章 保全を裏切る便益――コミュニティ・サンクチュアリからの地域発展
はじめに
1  「便益基盤アプローチ」のもとでの「完全な参加と関与」
2  「完全な参加と関与」を放棄した結果
3  住民にとって重要なこと
4 便益の裏切り

第4章 権利者としての選択――コンサーバンシーと生計のすれ違い
はじめに
1  「権利基盤のアプローチ」としてのコンサーバンシー
2  何が、どのように契約されたのか?
3  土地所有者としての消極さ
4  私有地を獲得したあとの生計
5  新自由主義化するマサイ?

第5章 現場で何が話し合われているのか?――民間企業との交渉、保全主義者との衝突
はじめに
1  追い出されるマネージャー、嫌われる観光会社
2  新しい契約が結ばれるまで
3  民間企業と契約することの難しさ
4  保全主義者に激怒するとき
補節 人びとにとっての野生動物

第6章 共存が語られるとき――「アンボセリ危機」におけるコミュニティの代表=表象
はじめに
1  危機に陥るアンボセリ
2  危機のなかで語られること
3  コミュニティの代表=表象のされ方
4  過去の共存と現在の軋轢

終章 さまよえる共存とマサイ社会のこれから
はじめに
1  これまでの議論のまとめ
2  「CBCはどうやって共存を実現しようとしているのか?」
3  「CBCによって実現されている共存をどのように考えるべきなのか?」
おわりに

著者紹介

目黒 紀夫(メグロ・トシオ)

1982年、東京都生まれ。2011年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。博士(農学)。広島市立大学国際学部講師。専門は環境社会学、アフリカ地域研究。

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