気候
近刊

私たちはどんな世界に生きたいと望むのか

気候

新たなる物語

  • チャールズ・アイゼンスタイン/著
  • 酒井 泰幸/訳
  • 四六判
  • 448頁
  • 2500円+税
  • ISBN 978-4-7877-2581-3
  • 2025.12.10発行
  • 野草社/発行
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紹介文

〈私たちはどんな世界に生きたいと望むのか〉

気候変動や地球温暖化を炭素で計量することが、世界的なスタンダードになっている。
しかし、脱炭素のように一つの尺度に問題を落とし込み、これを敵とみなして戦うことで、真の解決に向かえるのだろうか。
敵や原因を見つけ、戦いを挑む人類の習慣こそ変えなければいけない。
分断を超えて、インタービーイング(相互共存)の新たな物語をつむぐ。

《気候論争の一番の問題は、強調すべき点が間違っていることです。
地球平均気温が上昇しているかどうかは主な問題点ではありません。
私たちは間違った論争に巻き込まれているのです。
もし人為的地球温暖化の標準的な物語が本当なら、最重要の緊急課題は世界中の土と水と生態系を守り修復することです。
もし人為的地球温暖化の標準的な物語が間違いなら、最重要の緊急課題は世界中の土と水と生態系を守り修復することです。》
——本文より

目次

プロローグ——迷宮

第1章 存在の危機
・失われた真実
・「彼ら」の正体
・戦い

第2章 気候原理主義を超えて
・他のことは関係ない?
・炭素還元主義のあべこべな結末
・社会の気候
・原因への突進
・あらゆる原因の母
・コミットメントが息づく場所

第3章 気候論争のグラデーションとその向こう側
・私が付くのはどちら側?
・懐疑論の世界を訪れる
・世界の終わり
・科学という制度
・間違った論争

第4章 水のパラダイム
・違うレンズを通して
・森林と樹木
・ガイアの器官
・気候変動の五千年

第5章 炭素——生態系の視点
・炭素、土壌、生命
・排出量という強迫観念
・地球工学技術の妄想
・数量というカルト宗教

第6章 悪魔との取引
・地球温暖化物語の害
・受動性の原因
・なぜ私の息子を愛すべきなのか?
・自然の売買
・自然の権利

第7章 革命は愛だ
・すべては一頭のサイの中に
・コンクリートの世界
・選択の前提

第8章 再生
・土を癒す
・なぜ再生型農業は主流にならないのか?
・飢えた地球を食べさせる
・水を癒す
・人々と地球は互いを必要としている
・野生を世話する

第9章 エネルギー、人口、進歩
・力のパラダイム
・進歩の意味
・豊かさへのトランジション
・人口

第10章 お金と負債
・椅子取りゲーム
・成長の命令
・開発と負債
・偽善
・エコロジー経済の諸要素

第11章 心の営み
・我らは科学を信ずる
・大地に感覚があると知っていたら
・大地の力
・現実を生き返らせる

第12章 生きている世界への架け橋

参考文献
訳者あとがき

著者紹介

チャールズ・アイゼンスタイン(Charles Eisenstein)

1967年生まれ。
文明、意識、貨幣、人間文化の進化というテーマに注目する講演家であり文筆家。
彼の短編動画やエッセイはネット上で急速に拡散し、既存の分野にとらわれない社会哲学者、対抗文化(カウンターカルチャー)の知識人として知られる。
1989年にイェール大学を卒業し数学と哲学の学位を取得、その後10年間を中国語・英語の翻訳者として過ごす。
著書に『The More Beautiful World Our Hearts Know Is Possible (心の中にある実現可能なより美しい世界)』(2013年)、『Sacred Economics (聖なる経済学)』(2011年)、『The Ascent of Humanity (人類の上昇)』(2007年)がある。

酒井 泰幸(サカイ・ヤスユキ)

1963年生まれ。
東京工業大学(現東京科学大学)機械工学科卒業。日本電装株式会社(現株式会社デンソー)に勤務のかたわら、JICA青年海外協力隊バングラデシュ派遣、米レンセラー工科大学 Ecological Economics, Values & Policy 修士課程修了。2014年株式会社デンソーを退職、2019年に和歌山県那智勝浦町へ移住。

関連書籍

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