白虎消失

空前の古代史ブームを巻き起こした高松塚壁画の発見から50年、消えた白虎の衝撃

白虎消失

高松塚壁画劣化の真相

  • 大脇 和明/著
  • 四六判
  • 288頁
  • 2200円+税
  • ISBN 978-4-7877-2116-7
  • 2022.03.08発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

紹介文

発見時の鮮やかだった高松塚壁画群が、国宝となり文化庁が管理する間に、カビの大発生、作業時の損傷、そして石室解体へ。壁画劣化は防げなかったのか? 古代史ブームを巻き起こした高松塚壁画がたどった道のりを新聞記者が丹念に追ったルポルタージュ。
「世界に例を見ない極上の壁画を後世に残そうと努力を重ね、格闘した担当者たちの苦悩があったことも事実だろう。だからこそ私は、高松塚古墳の壁画はなぜ、「白虎」の描線が消えたり、「飛鳥美人」や「青龍」が黒カビに汚染されたりするほどに劣化したのかを問いたい。」

目次

プロローグ 消える白虎 ――隠された事実

第1章 壁画発見――衝撃の女子群像
全面カラー特報の「飛鳥美人」
穴の中に光が差し、何か色が見えた
「飛鳥美人」を撮影した便利堂
網干善教とマスコミ
末永雅雄の決断と懸念

第2章 高松塚の謎とキトラ古墳
高松塚壁画とは何か
重文級の壁画模写
第二の壁画古墳・キトラ発見
玄武発見から一五年、四神次々確認

第3章 カビとの闘い――苦悩の保存処理
カビはいつから
「現地保存」の方針決定
保存施設の完成と初期の体制
保存施設の建設と壁画保存のキーマン
「人の出入り」が要因か

第4章 劣化発覚
発覚前夜――「唐突に」黒カビ公表
緊急対策検討会が現地を視察
キトラにも白いカビ
恒久保存検討会が発足、再びカビと虫
壁画の現状、高精細デジタル撮影
消えた「白虎」に衝撃

第5章 白虎の悲鳴――現地保存か、解体か
文化庁に激震、キトラにも影響
キトラ「玄武」と感動の対面
文化庁に壁画担当調査官
現地保存は困難、解体を検討へ
石室解体へ五案を提示

第6章 ずさんな実態次々発覚
「作業日誌」を開示請求
ずさんなカビ対策の実態
取合部に大量のカビ発生
共有されなかったマニュアル
「青龍」の舌を損傷、装潢師を投入
西壁損傷事故、同日に相次ぎ発生
損傷事故は何が問題だったのか

第7章 飛鳥と明日香、地元の思い
飛鳥ブームの火付け役
キトラ壁画、地元の執念で発見
四神次々確認、村民に驚きと興奮
根強い異論・反対、そして解体決定
河合長官、明日香村に初の公式訪問

第8章 始まった石室解体
解体前に石室公開、白虎ほぼ消失
発掘で見えたM8級・南海地震の痕跡
キトラの朱雀、ワイヤー・ソーではぎ取り
天井石、西壁、続々取り出し、北壁に黒カビ
解体終了、修復へ

第9章 劣化は複合汚染
ガラス越しに壁画初公開、初日は三八〇人
「劣化は複合汚染」と原因調査検討会
「もう古墳に戻せない」
キトラ壁画、東京へ
解体から一三年、壁画の修理完了

エピローグ 文化財はだれのもの

出版社からのコメント

著者の大脇和明さんは元朝日新聞の記者で、2004年に文化庁が刊行した写真集『国宝 高松塚古墳壁画』を見て壁画劣化をスクープし、以来、この問題を継続して調べました。本書はその集大成です。

著者紹介

大脇 和明(オオワキ・カズアキ)

1959年、長崎県生まれ
明治大学文学部史学地理学科(日本史専攻)卒業
合同出版編集部などを経て、1985年に朝日新聞社入社
和歌山支局を振り出しに川崎支局、東京本社整理部、富山支局、東京本社企画報道室、地域報道部、奈良・橿原支局長、大阪本社生活文化部・社会部、金沢総局次長、東京本社社会部・立川支局長などを経て、現在フリー。
桜町遺跡(富山)、奥三面遺跡群(新潟)、宮畑遺跡(福島)などの縄文遺跡のほか、奈良・大阪などの関西、北陸、中国地方の古代遺跡や古墳をはじめ文化財関連の取材・執筆多数。

関連書籍

  • 極彩色壁画の発見 高松塚古墳・キトラ古墳