メディア2025.11.10
韓国文学セレクション『資本主義の敵』の書評が「毎日新聞」に掲載されました(星野智幸氏評)
韓国文学セレクション『資本主義の敵』(チョン・ジア作、橋本智保訳)の書評が「毎日新聞」に掲載されました。
◎今週の本棚「毎日新聞」2025年11月8日
星野智幸さん評『資本主義の敵』=チョン・ジア著、橋本智保・訳
https://mainichi.jp/articles/20251108/ddm/015/070/017000c
☆「愉快で身につまされる…短編たち」
〈タイトルを見て、庶民から搾取する富裕層を糾弾するような小説を思い浮かべたら、思いきり肩透かしを食らう。私も恐々読み始め、気づいたらくすくす笑ってばかりいた。ユーモアと呼ぶのでは物足りない、強烈な諧謔に満ちた文体が、底なしの愉快さをもたらす。〉
〈全編を貫くのは、虚無に落ちる寸前の、シニシズムすれすれの場所から出てきた「クソっ」という言葉だ。語り手も登場人物も、唐突に「クソっ」と言い放つ。自虐ネタの宝庫「文学博士チョン・ジアの家」は、書き出しが「クソったれ」だ。クソはときにはすべてを笑い、ときには嚙み砕けも飲み込めもしない諦念になる。〉
〈希望も冷笑も拒む短編たちに、私の絶望は和らげられた。〉
◎『資本主義の敵』(チョン・ジア作、橋本智保訳)書誌詳細
https://www.shinsensha.com/books/7558/