古墳は権力の象徴でも、巨大な墓でもない!
13歳からの考古学
なんで古墳を造ったの?
神の時間と人の時間をめぐる旅
- 四六判
- 352頁
- 2300円+税
- ISBN 978-4-7877-2510-3
- 2026.03.28発行
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紹介文
絵を描くことが大好きな転校生の颯太。内気な性格のため、新しい中学校で友だちができるか心配でしたが、転校初日に古墳が好きで歴史オタクの理央と、埴輪が好きで古墳女子の伊世の二人に出会い、歴史にそれほど興味がないまま歴史研究部に入部することに。
さらに、担任で顧問の太田先生の「考古学の学会で研究発表する!」という一言で、「なんで古墳を造ったのか」をテーマにポスター発表をすることになってしまい、颯太の中学生活は古墳一色に染まっていきます。
こうして太田先生から託された魔鏡の力も借りて、颯太、理央、伊世の三人の古墳をめぐる旅がはじまります。
なぜ古墳は造られたのか? そしてなぜ突然、造られなくなってしまったのか?
この答えを求めて三人は、最初の前方後円墳と言われる箸墓古墳、応神陵古墳、今城塚古墳、そして最後の巨大前方後円墳・五条野丸山古墳、そして九州の装飾古墳、宗像大社と沖ノ島祭祀遺跡……へと旅を続けます。
果たして、三人は答えを見つけることができるのでしょうか。
目次
口絵
おもな登場人物
プロローグ 二十歳の再会
第1章 考古学への目覚め
緊張の転校初日/ようこそ歴史研究部へ/放課後の秘密基地「こなもんクラブ」/古墳女子と歴史オタク/知らないうちに入部試験/今年の活動テーマ/太田先生の爆弾発言!/学会の発表テーマは「なんで古墳を造ったの?」/まずは考古学のイロハから/はじめての土器実測体験/託された鏡の欠片
第2章 魔鏡、三角縁神獣鏡
近つ飛鳥博物館へ/太田塾開講/古墳文化は近畿地方だけじゃない/三角縁神獣鏡は魔鏡?/箸墓古墳の下調べ/まずは三輪そうめんで腹ごしらえ/箸墓古墳と箸墓伝説/ホケノ山古墳へ向かう/魔境に映った光景/箸墓古墳を築く/魔鏡の秘密?/鏡に映る古墳時代/次のフィールドワークの場所は?/古墳と馬のロマンの応神陵へ/神の時間と人の時間/人が神になる/神々のふるさとへ
第3章 神と人、そして異界
神のルーツを訪ねて、いざ九州へ!/博多グルメを満喫!/宗像大社と神の島/宗像大社と祈りのかたち/神と人の境界、高宮祭場/命がけの渡島/神の森の祭祀/古墳は神様とつながる場所/海のかなたへ渡る舟/装飾古墳を読み解く/竹原古墳の装飾壁画/五郎山古墳の壁画/文字のないメッセージ/石人石馬/石に刻まれた想い/歴史を語ること
第4章 新時代の苦しみ
今城塚古墳へ/復元された埴輪祭祀場/継体大王の石棺/大王の苦悩/モノで語る想い/前方後円墳の時代の終わり/五条野丸山古墳/まとまらないポスター発表の内容/石舞台古墳と黄泉国神話/魔鏡の最後/飛鳥寺訪問/仏教学者との対話/学会発表のストーリー
第5章 歴史を語ること
みんなで考えた発表内容/考古学として語るために/学会発表に向けてさらなる考察/中学生たちの熱い発表/多くのギャラリーに届けたい!/学会発表を終えて/法隆寺を訪ねて/五重塔と金堂/百済観音の微笑/僕らの旅は終わる
エピローグ 再び出会う日まで
あとがき
おもな参考文献






出版社からのコメント
13歳からの考古学シリーズ7冊目は、みんなが大好きな古墳をめぐるお話です。
なぜ、あんなに大きな古墳が日本各地に造られたのでしょうか。その謎の答えを求めて中学1年生の三人が旅をします。
古墳時代は、気持ちや意図をことばではなく、モノに託した時代と言えます。
巨大な前方後円墳は、神と人をつなぐ役割を持っていて、さらに王の死をみんなで受け止めるための場所でもありました。そして、「死んだら神になる」と考えられていて、人と神との距離が近かったのが古墳時代です。一方、仏教伝来後は、今をどう生きるかが問われるようになりました。
つまり、人々の時間に対する考え方が変わっていった。そこに巨大古墳が造られなくなった理由があるのではないか……。
著者の河野一隆さんは、古墳時代を「円的時間」、仏教伝来以降を「直線的時間」と捉え、古墳が造られた理由、古墳が造られなくなった理由について研究しています。
この本では、時間という観念から古墳時代を見つめ直しましたが、河野さんが本で書いているように、「考古学が導き出す答えは決して一つではありません」。
考古学は、「過去の人々が残したものに向き合い、『なぜ、人々はこんなに遺跡を残したのだろう?』『先生が言ったことではなく、自分ならどう考えるだろう?』と問い続ける学問なのです」。
なんで古墳を造ったのか? この本をきっかけに、皆さんも、ぜひ自分なりの答えを見つけてみてください。