美学的空間 〔増補〕
近刊 中井美学の集大成。名著の復興

復刻

美学的空間 〔増補〕

  • 中井 正一/著
  • 鈴木 正/編・解説
  • 四六判上製
  • 416頁
  • 4200円+税
  • ISBN 978-4-7877-2508-0
  • 2026.03.25発行
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紹介文

〈美学論、映像論、言語論を網羅した中井正一の思想エッセンス〉

戦前・戦中・戦後の困難な時代にあって、未来への予見性に満ちた言葉を発し続けた思想家・中井正一の主要な評論を集成。
永く読みつがれてきた名著、待望の復刻。

「自分が何か自分から距てられていること、そのことから空間が構成されてゆく。
空間の中に生(いのち)があるのではなくして、生の中に空間があるのである。」
(「生きている空間——映画空間論への序曲」)

「人間は、自分が見失っていた自らの方向を、カットとカットの切断の隙虚の中に撃発し復活するのである。社会的矛盾と欠乏を媒介として、自らの本質を明るみにもたらすのである。
この社会的矛盾と欠乏に面する切断空間、この断崖、この断崖に面するこころ、これが実は歴史を嗣いで来た人間の根本的歴史的パトスである。この世の中を果して善くならしめることが出来るのか、とても善くして行くことは不可能なことなのか、実践の苦悩の果てに面する人類の嘆声、これが、歴史に面する「切断空間」である。」
(「映画の空間——映画の主体性の問題に関連して」)

目次

I
生きている空間——映画空間論への序曲
現代美学の危機と映画理論
映画の空間——映画の主体性の問題に関連して
映画の時間——映画の主体性の問題に関連して

II
現代に於ける美の諸性格
機能概念の美学への寄与
機械美の構造
ノイエ・ザッハリッヒカイトの美学
物理的集団的性格
「壇」の解体
リアリズムとロマン主義
芸術的空間——演劇の機構について
近代美と世界観
芸術に於ける媒介の問題
カントに於ける中間者としての構想力の記録
機械時代と理論並に芸術の適応
脱出と回帰

III
発言型態と聴取型態並にその芸術的展望
意味の拡延方向並にその悲劇性
言語は生きている
気質(かたぎ)
気(け、き)の日本語としての変遷

講座 芸術学

解説 中井正一の「新しい詩」……鈴木正
中井正一文献誌……編者
あとがき……編者

著者紹介

中井 正一(ナカイ・マサカズ)

1900-1952
美学者、哲学者、社会思想家。
1925年、京都帝国大学文学部哲学科卒業。
1930年、同人誌『美・批評』を学友と創刊。
1933年、滝川事件の抵抗運動に参加。
1935年、反戦・反ファシズムの思想文化運動の月刊誌『世界文化』を久野収ら同人と創刊。
1936年、新聞『土曜日』を同人と発刊し、時代情況を批評する巻頭言を同紙に執筆。
1937年、治安維持法違反により検挙。
1945年、尾道市立図書館館長に就任。青年講座を開くなど民衆文化の啓蒙に努める。
1948年、国立国会図書館初代副館長に就任。日本図書館協会理事長として図書館法制定に奔走。

鈴木 正(スズキ・タダシ)

1928-2021
思想史家。名古屋経済大学名誉教授。

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