無形民俗文化財が被災するということ
東日本大震災と宮城県沿岸部地域社会の民俗誌
- A5判
- 320頁
- 2500円+税
- ISBN 978-4-7877-1320-9
- 2014.01.31発行
- [ 在庫あり ]
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書評・紹介
- 渡辺靖氏評「難題に向き合う地域の民俗誌」(「朝日新聞」2014年3月9日)
- 「毎日新聞」2014年3月9日
- 佐藤文夫氏評(「赤旗」2014年4月13日)
- 山内明美氏評「ひもとく 民俗芸能と震災」(「朝日新聞」2017年3月5日)
- 今石みぎわ氏評(「東京新聞」「中日新聞」2017年3月26日)
紹介文
形のない文化財が被災するとはどのような事態であり、その復興とは何を意味するのだろうか。震災前からの祭礼、民俗芸能などの伝統行事と生業の歴史を踏まえ、甚大な震災被害をこうむった沿岸部各地域社会における無形民俗文化財のありようを記録・分析し、社会的意義を考察する 。
目次
【I 気仙沼・南三陸】
●その年も、「お年とり」は行われた (梅屋 潔)
気仙沼市鹿折地区浪板および小々汐の年越し行事にみる「祈り」
●災害復興における民俗文化の役割 (林 勲男)
南三陸町歌津地区の民俗行事の再生から
●震災後における民俗の活用と被災地の現在 (政岡伸洋)
南三陸町戸倉波伝谷地区の場合
【II 石巻・女川】
●巨大地震で落ちなかった受験の神様と「担がれない」お神輿 (金菱 清)
石巻市北上町十三浜追波地区
●石巻市釜谷における年中行事の被災と復興 (岡山卓矢)
稲荷神社例祭と二つのオヨウカを中心に
●雄勝法印神楽の再開過程と民俗性 (小谷竜介)
文化財の保存と活用の観点から
●東日本大震災と離島の民俗文化 (金賢貞)
女川町出島の獅子振りを中心に
●牡鹿半島の集落における祭り復興の三つの型 (山口未花子)
【III 東松島・七ヶ浜】
●二年遅れで復活した二〇年周期の祭礼から見えてくる現実 (木村敏明)
東松島市浜市お潮垢離行事
●東松島市月浜の被災民俗文化財調査からみる、民俗行事の伝承と生業の復興 (俵木 悟)
●アニメ聖地巡礼者たちの被災地支援 (兼城糸絵・川村清志)
七ヶ浜町花渕浜の事例から
【IV 多賀城・仙台・名取】
●多賀城鹿踊「被災」始末 (菊地 暁)
多賀城市八幡地区の来歴をふまえて
●「情けのイナサ」をふたたび (川島秀一)
仙台市若林区荒浜の漁業の再興
●大漁唄い込み踊にみる閖上のくらし (沼田 愛・赤嶺 淳)
●仮設住宅での聞き取りからみえてくる生業・土地利用・被災家屋 (島村恭則・沼田 愛)
名取市北釜地区の調査から
【V 岩沼・山元】
●祭礼を無理に復活させないという選択 (滝澤克彦)
岩沼寺島地区の事例から
●「地区」と祭りの変遷 (稲澤 努)
山元町八重垣神社お天王さま祭りの調査から
●残されたご神体と奉納できぬ神楽 (高倉浩樹)
被災した山元町中浜神楽の再開に向けた活動の連鎖
【シンポジウム記録】
<民俗芸能と祭礼からみた地域復興>
第1部 「無形」文化財の被災とその復興
第2部 無形民俗文化財と地域社会の復興をめぐるパネル討論