間主観性の社会学理論

間主観性の社会学理論

国家を超える社会の可能性[1]

  • 西原 和久/著
  • 四六判上製
  • 320頁
  • 2600円+税
  • ISBN 978-4-7877-1020-8
  • 2010発行
  • [ 在庫僅少 ]
  • 書店サイトへ

紹介文

ポストグローバル化時代へ向けた社会学理論の挑戦――

いま日本社会学は、国内志向の、実証的・価値中立的な研究に閉じ込められようとしていないか。
私たちの思考と行動の「ナショナルな枠」を問い直し、ポスト・グローバル化時代の社会像を追究する社会学的思考、倫理実践を提起する。

目次

序 社会と国家をめぐる問い──いま社会学が考えるべきこと

第1章 相互行為からの出発──現象学的社会学という視点
1フッサール現象学の三つの文脈/2シュッツ現象学的社会学の視線/3現象学的社会学の展開と可能性

第2章 社会学理論を問い直す──理論・実証・実践、そしてアジア
1問いのスタンス──社会学理論とナショナルな枠の問題/2理論と方法の意味──社会学理論の重層性、あるいは理論・実証・実践/3社会学理論とポスト・グローバル化時代の実践的課題

第3章 近代の特性と近代批判の系譜──現代社会論への現象学的視座
1意味への視座という問題──意味の諸相と近代/2意味をめぐる問いの焦点──近代の意味転換と現象学の系譜/3意味社会学の視線──発生・生成の形式への問い/4現代社会への視座──生世界をめぐる現象学関連の社会理論

第4章 現代社会存立の発生論的基底──間主観性の社会学理論の前哨
1間主観的な意味空間の構図──身体から制象まで/2現代社会の存立──近現代を問い直す視座をめぐって/3グローバル化時代の「社会」への問い──国家内社会を超える人際交流

第5章 身体・他者・暴力・国家──間主観性論の社会学理論的展開
1社会学における理論の位置・再考──問われるべきことの現在/2社会学的想像力としての相互行為世界──グローバル化時代の間主観性論/3社会学的間主観性論から国家論へ──「界」の概念にも着目して/4身体・暴力・国家という問い──共同主観性を超えて

第6章 越境する相互行為論──抵抗する精神の冒険
1社会的現実と社会学的思考──社会学者・下田直春の問い/2越境する社会的行為論──社会学理論と廣松社会哲学/3現代社会学理論と行為論──深部への問い・外部への問い

付 章 M・ネイタンソンとの対話──シュッツと現象学者たち
序 付章の成立経緯/1ネイタンソンとシュッツとニュースクール/2シュッツとニュースクールでの講義/3シュッツの人となり/4シュッツと音楽/5シュッツとネイタンソンの共同作業/6シュッツとルックマン/7シュッツと現象学的哲学者たち/8現代の現象学者:断章/9若い世代の現象学的社会学者/10現象学とエスノメソドロジー/11 ガーフィンケルのこと/12 シュッツの研究上の諸段階/結びに代えて

著者紹介

西原 和久(ニシハラ・カズヒサ)

成城大学社会イノベーション学部教授、名古屋大学名誉教授。マンチェスター大学、南京大学、インスブルック大学、ハワイ大学、北京外国語大学などで客員研究員、客員教授を歴任。専門は、社会学理論、移民・移動者研究、国際社会学。本書と関連する主著と訳書は以下の通り。
関連主著:『社会学的思考を読む』(人間の科学社、1994年)/『意味の社会学』(弘文堂、1998年)/『自己と社会』(新泉社、2003年)/『間主観性の社会学理論──国家を超える社会の可能性[1]』(新泉社、2010年)/『トランスナショナリズムと社会のイノベーション』(東信堂、2016年)関連訳書:『間主観性と公共性』(N. クロスリー著、新泉社、2003年)/『社会学キーコンセプト─「批判的社会理論」の基礎概念57』(N. クロスリー著、新泉社、2008年、監訳)/『社会運動とは何か─理論の源流から反グローバリズムまで』(N. クロスリー著、新泉社、2009年、共訳)/『国際社会学の射程』(U. ベックほか著、東信堂、2016年、共編訳)など。