道具と人類史

道具と人類史

  • 戸沢 充則/著
  • 四六判上製
  • 136頁
  • 1600円+税
  • ISBN 978-4-7877-1210-3
  • 2012発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

広い考古学的知見と、深い人間洞察が生んだ、珠玉の考古学エッセイ。
アフリカで200万年前の原人が手にした礫器、数万年前の石槍、土器の発明、土偶の意味……、道具を生み出してきた過程を解説しながら、人間の歴史を浮かび上がらせる。

「未来に向けて人類史は永遠でなければならない。これは考古学者としての私の信念である。それは過去の人類が寒冷な氷河時代や苛酷な自然環境を克服して、文化を育て、技術を伝承し、二十世紀にいたる人類の歴史を作りあげてきたことへの限りない愛着に基づくものであろうか。
 そして二十世紀を生きてきた一人としていま切実に思うことは、道具を作るこころと使うこころがいつも正しくかみ合うような人類の英知を早くみんなが出し合い、人類自らが作り出しかねない・氷河時代・の危機を徹底的に克服し、やがて来るであろう本当の氷河時代に備える科学や技術の開発を急ぐことである。そのことによって、いま最高の技術におごる・二十世紀人類・が、地球を滅ぼし、人類を破滅させる主役になることなく、現代の繁栄と最高の科学を人類史上の金字塔として輝かすことのできる、確かな二十一世紀への展望をもつことにつながるものと信じて疑わない。」

目次

1 道具のルーツ
 人類が作った最初の道具──オノ
 素材は道具のいのち──ナイフ
 石片に隠された技術
 一万年前の飛び道具──投槍
 火の利用と土器の誕生
 漁労を発展させた骨角器──釣り針
 学ぶところのある縄文人の食文化
 縄文人の精神生活──土偶
 銅鐸の謎をめぐって
 大きく変わる縄文人像
 技術の進歩と人類の未来


2 縄文土器の世界
 土器はなにを語るか
 縄文土器への憧憬──有孔鍔付土器
 縄文人の心理の深層──抽象文装飾土器
 縄文人のエネルギー──水煙土器
 小さな器に豊かな祈り──吊手土器
 縄文土器の美──顔面付吊手土器
 縄文の八ヶ岳の世界──神像筒形土器


 人間、戸沢充則とその考古学 勅使河原 彰

著者紹介

戸沢 充則(トザワ・ミツノリ)

19032年、長野県岡谷市に生まれる。1945年秋、旧制中学校一年生の時に、学校の裏山で縄文土器片を拾い歴史の真実に触れた感動から考古学の道を歩む。高校生時代には、藤森栄一氏が主宰する「諏訪考古学研究所」に参加。その後、明治大学文学部考古学専攻に進学。以後、明大で岩宿時代・縄文時代の研究と学生の指導をつづけ、明大考古学博物館長、文学部長、学長を歴任。2000年三月に退職。明治大学名誉教授。その一方で、「市民の考古学」をモットーに各地で市民参加の発掘調査、考古地域史研究を実践する。2000年12月より2002年6月にかけて、日本考古学協会の「前・中期旧石器問題調査研究特別委員会」委員長として旧石器発掘ねつ造事件の検証調査にあたる。2012年死去。主な編著書 『考古学のこころ』『考古地域史論』『歴史遺産を未来へ残す』『増補 縄文人の時代』『語りかける縄文人』(以上、新泉社)、『縄文人は生きている』(有斐閣)、『岩波講座 日本考古学』(共編著、岩波書店)、『縄文人との対話』『縄文時代研究史研究序説』(以上、名著出版)、『先土器時代研究の構造』(同朋舎出版)、『縄文時代研究辞典』(編、東京堂出版)ほか多数。