睡蓮

詩人・山尾三省の妹による追憶の歌。

睡蓮

長屋のり子詩集

  • 長屋 のり子/著
  • A5判変型
  • 272頁
  • 2500円+税
  • ISBN 978-4-7877-1886-0
  • 2018.08.28発行
  • [ 在庫あり ]
  • 野草社/発行
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紹介文

もうすぐ死んでしまう兄が、火を焚いてくれている。
この世での兄弟の最後の愛の証のように一心に
火を焚いてくれている。
――本書より

「詩は愛しい死者達との融通無碍の通路になった」。詩人・山尾三省の妹による追憶の歌。家族の時間、日々の情景をみずみずしい筆致で描いた著者の代表作を、増補新版として復刊。(発行=野草社)花崎皋平(哲学者)、嵩文彦(詩人)、宮内勝典(作家)の解説を付す。「宮沢賢治の「永訣の朝」は、死にゆく妹への慟哭であった。そして、この『睡蓮』に鳴りひびいているのは、死にゆく兄への慟哭である」(解説・宮内勝典「おなり神の歌」より)。

目次

I
睡蓮
緑の石
ラスコーリニコフ
十三月
雲の接吻

蜥蜴
エメラルド色のそよ風族
さあ 火を焚こう

憧憬の蝶


II

カナリア
母の幽霊
母の死
応答せよ
ブルース・ハープ
五右衛門風呂
あーんしてごらん

III
洗面器の水になった夢は
七段目の階段
カイルの四角形
赤い馬
幸福銀行

IV
池田郁子の弟ヒロシの考察 by B・B phone
SAMUSA
上に堕ちる夢
歯ブラシを失くして
ごっこ汁
ハラホロハラヒレとその時 百合子ちゃんは云った
日本国憲法第九条は雨に咲く白い薔薇

V
帰郷(I)
帰郷(II)  ――神田淡路町――
春氷柱 光の指

VI 叙事詩
モーツアルトを聴くと
魂の原郷 屋久島にて



長屋のり子詩集『睡蓮』を愉しむ 花崎皋平
長屋のり子さんへの手紙 嵩 文彦
おなり神の歌 宮内勝典



ぽえとりくす舎版へのあとがき
野草社版へのあとがき
青鳩が石狩湾の薄い青色の海水を啜る日に

出版社からのコメント

詩人・山尾三省(1938?2001)の生誕80年を記念し、詩人の妹である長屋のり子の詩集を刊行します。哲学者・花崎皋平が「長屋のり子の詩は心の痛みから分泌されたかぐわしい香りを放っている」と評した同題の詩集(ぽえとりくす舎、2007年刊)に、山尾三省ら亡き家族の思い出を描いた作品3篇と、詩人・嵩文彦による解説1篇を加えました。長く愛読される書物になるよう、文字やブックデザインの美しさにもこだわっています。

著者紹介

長屋 のり子(ナガヤ・ノリコ)

1940年、東京都神田淡路町に生まれる。1962年、学業を終える。卒論「川端康成」。手芸誌編集長を経てノンフィクションライター。著書に『お兄ちゃんをゆるして』(プレス東京出版)。詩集に『睡蓮』(ぽえとりくす舎)、『蝶の背に乗って』(アニママニア協会)他。現在、北海道小樽市在住。兄は詩人の山尾三省。

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