マルクスとアソシエーション 〔増補新版〕

マルクスとアソシエーション 〔増補新版〕

マルクス再読の試み

  • 田畑 稔/著
  • 四六判上製
  • 376頁
  • 2700円+税
  • ISBN 978-4-7877-1500-5
  • 2015.07.05発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

紹介文

〈未来社会はアソシエーション〉。

『共産党宣言』の有名な文節「各人の自由な展開が万人の自由な展開の条件であるような、ひとつの共同社会」=「アソシエーション」。
「アソシエーション」にマルクスが込めた解放論的構想を精緻な原典再読作業から読み解き、彼の思想を未来社会へと再架橋する。

マルクス像の根本的変革を提起し、大きな反響を得た名著に、新たに4章を増補して待望の復刊!
(初版刊行 1994年)

《われわれは、マルクスにおいて共産主義とはポジティヴに何であったのかを、まずは問い直さねばならない。そういう目でマルクスを再読すると、クローズ・アップされてくるのが「アソシエーション」の概念である。われわれはマルクス・アソシエーション論を軸心にすえて、自身が現に生きている生活諸関係の現場へと「マルクスを超える」という課題に直面していると言えないだろうか。---------著者》

目次

序論 アソシエーションというマルクス再読視座
1 未来社会は「アソシエーション」/2 「アソシエーション」の訳語問題/3 「社会的編成」論と「アソシエーション」/4 「社会的編成」の四つの型

第1章 ルソーのアソシアシオン論とマルクス
1 アソシアシオンとしての政治体/2 『ヘーゲル国法論批判』における「民主制」論/3 『ユダヤ人問題によせて』のルソー論/4 「アソシアシオン」と「アグレガシオン」

第2章 『ドイチェ・イデオロギー』と「諸個人の連合化」
1 自立化/服属視点と個人性生成視点/2 「市民社会」における「対抗的連合化」/3 「階級個人」と「人格的個人」の分化/4 「個別意志」の「連合化」と「エゴイストたちの連合」

第3章 アソシエーションと移行諸形態
1 自発的闘争と未来社会との連続性としてのアソシエーション/2 マルクスと協同組合/3 アソシエーションと経済の総社会的調整/4 コミューンとアソシエーション/5 アソシエーションと権力

第4章 アソシエーションと「自由な個人性」
1 「必然の国」と「自由の国」/2 労働交換システムとしてのアソシエーション:交換論的三段階図式をめぐって/3 「個人的所有」とアソシエーション:所有論的三段階図式をめぐって/4 労働の「活動」への転化:労働論的三段階図式をめぐって/5 アソシエーションと「自由な個人性」:人格論的三段階図式をめぐって

補論 マルクス再読の試み
1 「マルクス主義」はいつ成立したか/2 マルクスとイギリス革命/3 「批判」というスタイル/4 マルクス意識論の復権を/5 マルクスと「市民社会の唯物論」/6 マルクス「唯物論」の二重構造/7 マルクス国家論の端初規定/8 人類史の中のアソシエーション/9 「幽霊」としてのコミュニズム/10 「自由時間」論と文化ヘゲモニー/11 商品/資本関係と外部性/12 マルクスの稜線

増補第1章 マルクス・アソシエーション論と訳語問題
1 アソシエーション日本語訳の経緯/2 マルクスのアソシエーション論

増補第2章 『共産党宣言』とアソシエーション論的転回
1 『共産党宣言』の中のアソシエーション/2 アソシエーション論的転回のためのマルクスからの「いくつかの基本的足場」/3 現代のアソシエーション実践の諸形態/4 アソシエーション論の思想的裾野/5 共同作業の呼びかけ

増補第3章 再読されるマルクス
1 マルクス再読/2 「加上」諸形態/3 「国家哲学でもある党哲学」/4 哲学に対するマルクスの関係/5 意識論の端初規定/6 唯物論/7 国家論の端初規定/8 アソシエーション/9 おわりに

増補第4章 「アソシエーション」「アソシエイトした」のマルクスによる用例一覧

著者紹介

田畑 稔(タバタ・ミノル)

1942年大阪市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程哲学哲学史専攻単位取得退学。富山大学教養部助教授(哲学担当)、広島経済大学経済学部教授(倫理学担当)、大阪経済大学人間科学部教授(哲学、人間論担当)などを経て、季報『唯物論研究』編集長、大阪哲学学校世話人。主な著書に、『マルクスとアソシエーション』(新泉社、1994年、増補新版2015年)、『マルクスと哲学』(新泉社、2004年)、『人間科学の新展開』(共編著、ミネルヴァ書房、2004年)、『アソシエーション革命へ』(共編著、社会評論社、2003年)、『マルクス・カテゴリー事典』(共編著、青木書店、1998年)、『21世紀入門』(共著、青木書店、1999年)、『証言・唯物論研究会事件と天皇制』(共著、新泉社、1989年)、『企業モラルを哲学する』(共著、三一書房、1988年)など。

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