コミュニティを実践すること
近刊

〈コミュニティ実践〉を生み出す技法

コミュニティを実践すること

私たちはコミュニティに何を求めているのか

  • 宮内 泰介/編
  • 四六判
  • 288頁
  • 2400円+税
  • ISBN 978-4-7877-2503-5
  • 2025.12.10発行
  • 書店サイトへ

紹介文

〈コミュニティ実践〉を生み出す技法

福祉、防災、災害復興、環境保全など多くの分野で、コミュニティは政策の重要な鍵とされている。
しかしコミュニティは何でも担える強靱な存在ではなく、言葉が指すものも人によって状況によって異なる。
すでにあるものとしてではなく、実践が生み出すプロセスとしてコミュニティの姿を探求する。

《世界はコミュニティを求めている。時に、切実に求めている。環境保全でも、福祉の実現でも、あるいは貧困克服でも、コミュニティが解決の鍵とされている。しかし、そのコミュニティは、一つでないし、また、はっきりしない。単なる理念でない、実践的なコミュニティのとらえ方はどういうものがよいだろうか。
今、私たちはあらためて、コミュニティをダイナミズムを持ったもの、複数性を持ったものとしてとらえ直す必要がある。コミュニティを固定的なものとして考えるのでなく、プロセスとして考える。動いているものとして考える。私たちの実践が日々つくり上げるものとして考える。コミュニティは単一のものではなく、複数併存していて、多層に折り重なっているものである。——編者》

ブックデザイン:藤田美咲

書店発売開始日:2025年12月4日頃

目次

序章 私たちは今コミュニティをどうとらえればよいのか……宮内泰介

I コミュニティ実践が生み出すもの
第1章 滞在者がつながるコミュニティ実践——北海道八雲町に訪れる若者たち……寺林暁良
第2章 山の恵みで人とつながる——山菜と笹の葉の共同出荷が育む地域コミュニティ……椙本歩美
コラムA 自然への働きかけがつくるコミュニティ——コミュニティ実践としての森林ボランティア……山本信次
コラムB 都市の農の活動と往還するコミュニティ——農園の外部ににじみ出し、内部に取り込む実践から生み出されるもの……松宮 朝
コラムC 自分を生きるために選ぶフラットな関係性——移住者たちのライフストーリーから読み解く「コミュニティ」の意味……松村正治

II 私たちはコミュニティに何を求めるのか
第3章 「伝承的コミュニティ実践」の中止と継続のはざま——「人びとの心」にみる「善き余分事」の実践……井上 真
第4章 「する」と「される」の外側に生まれるコミュニティ——小さなまちの多様なコミュニティ実践から考える……植村友貴
第5章 弱くあれるコミュニティ——「望ましい実践」の向こう側……平井太郎
コラムD 三陸漁村に見る多層的なコミュニティ——「八重子の日記」から……宮内泰介・髙﨑優子

III 技法としてのコミュニティ実践
第6章 外国籍住民集住地域にみる重層的なコミュニティの技法——エスニック・コミュニティと地縁組織の間の緊張と協働……松宮 朝
第7章 形あること、みんなであること——沖縄県安田協同店にみるコミュニティ実践……髙﨑優子
第8章 終うことでコミュニティになる——コミュニティ実践としての「NPOもやいバンク福岡」の活動とその終い方……飯嶋秀治
コラムE コミュニティとなる場を生み出す試行錯誤の積み重ね——多層的な居場所としての子ども食堂の事例から……髙谷健人

終章 多様なコミュニティ実践を生み出すもの……宮内泰介

編者あとがき

著者紹介

宮内 泰介(ミヤウチ・タイスケ)

1961年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。北海道大学大学院文学研究科教授。専門は環境社会学。
主要業績:『社会学をはじめる——複雑さを生きる技法』(ちくまプリマー新書、2024年)、『コミュニティを実践すること——私たちはコミュニティに何を求めているのか』(編著、新泉社、2025年)、『シリーズ 環境社会学講座 6 複雑な問題をどう解決すればよいのか——環境社会学の実践』(三上直之と共編著、新泉社、2024年)、『どうすれば環境保全はうまくいくのか――現場から考える「順応的ガバナンス」の可能性』(編著、新泉社、2017年)、『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』(岩波新書、2017年)、『なぜ環境保全はうまくいかないのか――現場から考える「順応的ガバナンス」の可能性』(編著、新泉社、2013年)、『宇井純セレクション』(共編著、新泉社、2014年)、『実践 自分で調べる技術』(上田昌文と共著、岩波新書、2020年)、『かつお節と日本人』(藤林泰と共著、岩波新書、2013年)、『開発と生活戦略の民族誌――ソロモン諸島アノケロ村の自然・移住・紛争』(新曜社、2011年)、『半栽培の環境社会学――これからの人と自然』(編著、昭和堂、2009年)、『コモンズをささえるしくみ――レジティマシーの環境社会学』(編著、新曜社、2006年)、『コモンズの社会学――森・川・海の資源共同管理を考える』(井上真と共編著、新曜社、2001年)。

関連書籍

  • どうすれば環境保全はうまくいくのかFTP
  • なぜ環境保全はうまくいかないのかFTP
  • 複雑な問題をどう解決すればよいのか
  • 答えのない人と自然のあいだ
  • 地域社会はエネルギーとどう向き合ってきたのか
  • どうすればエネルギー転換はうまくいくのか
  • パインと移民
  • なぜ環境保全米をつくるのか
  • 誰のための熱帯林保全か
  • 森を守るのは誰かFTP