死者たちは、いまだ眠れず

死者たちは、いまだ眠れず

「慰霊」の意味を問う

  • 大田 昌秀/著
  • 四六判上製
  • 272頁
  • 2000円+税
  • ISBN 978-4-7877-0610-2
  • 2006発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

師範学校在学中に凄惨な沖縄戦に動員され生死をさまよい、奇跡的に生還した著者が、戦後の自らの慰霊の道のり、沖縄住民が建立した慰霊碑の数々、県知事時代に建立した「平和の礎(いしじ)」への思いなどから、真の慰霊とは戦争をしない道を追究することだ訴える。

■沖縄戦の犠牲となった人びとを慰霊するため建立された「慰霊の塔」の写真を多数掲載。
ひめゆりの塔、島守之塔、梯梧之塔、京都の塔・嘉数の塔、魂魄の塔、沖縄師範健児之塔、平和の像、平和の礎、小桜の塔、海鳴りの像、白玉之塔、「集団自決跡地」碑、平和之塔、チビチリガマ、忘勿石の碑、八重山戦争マラリア犠牲者慰霊之碑、米軍飛行士慰霊碑、痛恨之碑、アリラン慰霊のモニュメント、アジア太平洋戦争・沖縄戦被徴発朝鮮半島出身者恨之碑、韓国人慰霊塔、白梅之塔ほか

目次

第1章 沖縄・「慰霊の塔」はいま

1 沖縄県立平和祈念資料館・掲示板
2 慰霊の塔の碑文調査
3 「京都の塔」と激戦地・嘉数
4 大田実少将の美化
5 「黎明之塔」と沖縄守備軍首脳の美化
6 岡本太郎の批判

第2章 「慰霊の塔」が語る沖縄戦の実相

1 対馬丸の遭難と「小桜の塔」
2 「集団自決」と「白玉之塔」「平和之塔」ほか
3 戦争マラリア事件と「慰霊之碑」「忘勿石の碑」
4 「石垣島事件」と「米軍飛行士慰霊碑」
5 「久米島事件」と「痛恨之碑」
6 朝鮮人強制連行と慰霊の塔

第3章 わたしの慰霊の軌跡

1 戦場からの生還
2 何が間違っていたのか
3 占領下の遺骨収集
4 金城和信と「魂魄の塔」
5 「平和の像」建立へ

第4章 「平和の礎」と非戦の誓い

1 「平和の礎」建立の経過とその理念
2 「平和の礎」は、非戦の誓いの塔
3 「平和の礎」の課題

第5章 「慰霊」の意味を問う

1 沖縄にとって「慰霊の日」とは
2 許されない沖縄の靖国化
3 軍隊は国民の生命・財産を守り得るか
4 沖縄の平和思想を生かす
5 慰霊とわたしたちの責任

著者紹介

大田 昌秀(オオタ・マサヒデ)

1925年、沖縄県久米島に生まれる。1945年、沖縄師範学校に在学中、鉄血勤皇隊の一員として沖縄戦に動員され、九死に一生を得て生還する。1954年、早稲田大学を卒業、米国シラキュース大学大学院終了。琉球大学法文学部教授、同学部長を歴任するかたわら、ハワイ大学、アリゾナ州立大学などで教授、研究。専攻は社会学、広報学。1990年より沖縄県知事を2期つとめ、2001年より参議院議員。2017年逝去。著書に『沖縄の民衆意識』『醜い日本人』『近代沖縄の政治構造』『沖縄のこころ』『写真記録 これが沖縄戦だ』『有事法制は怖い』『沖縄戦下の米日心理作戦』『沖縄差別と平和憲法』など、多数がある。