氷河期を生き抜いた狩人 矢出川遺跡 〔改訂版〕

細石刃がはじめて発見された遺跡!

シリーズ「遺跡を学ぶ」9

氷河期を生き抜いた狩人 矢出川遺跡 〔改訂版〕

  • 堤 隆/著
  • A5判
  • 96頁
  • 1700円+税
  • ISBN 978-4-7877-2247-8
  • 2022.11.24発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

  • 「信濃毎日新聞」2023年2月18日

紹介文

日本で最初に細石刃が発見された矢出川遺跡。冬には零下二〇度にもなる高原に、なぜ旧石器人はやってきたのか?

長野県八ヶ岳野辺山高原、標高一三〇〇メートルを越す矢出川遺跡から、一万数千年前の後期旧石器が大量にみつかった。氷河期末の高原に狩人たちは何を求めてやってきたのか。

目次

第1章 高原のフィールドワーク
野辺山高原/地を這う分布調査/矢出川遺跡群/雪と泥にまみれて/旧石器文化編年への模索/地域研究者の情熱/矢出川の地形と地層/遺跡の広がりと石器ブロック

第2章 細石刃とは何か
すぐれた石器、細石刃/かたちと機能/細石刃をつけた道具─植刃器/高度なテクニック─細石刃技法/大量出土は何を意味するか?/細石刃文化の広がり/細石刃文化の更正年代/細石刃文化の起源

第3章 矢出川の古環境
1 氷期の古環境
泥水と戦いながら/花粉が語る環境変遷/狩人の原風景─ハシバミの疎林と草原/ナッツとベリー/細石刃がしとめた獲物
2 人びとの生活を支えた石材資源
黒曜石資源の開発/八ヶ岳周辺の石材資源環境/神津島産黒曜石搬入の謎/石材利用の変遷と選択性

第4章 氷期の高原に残された遺跡の謎
移動する民/高原に残された遺跡の謎/野辺山の有効環境/季節的移動の暮らし/黒曜石を携えて/氷期の適応戦略/細石刃の時代の終焉

出版社からのコメント

改訂版では、近年蓄積されてきた同時代遺跡の発掘調査をふまえて、旧石器時代の人びとの生活にせまります。

著者紹介

堤 隆(ツツミ・タカシ)

1962年長野県佐久市生まれ。
國學院大學大学院博士後期課程修、博士(歴史学)。
現在、明治大学黒耀石研究センター客員研究員、八ヶ岳旧石器研究グループ代表。
1992年藤森栄一賞受賞、2007年岩宿文化賞受賞、2014年日本旧石器学会賞受賞。
主な著書 シリーズ「遺跡を学ぶ」009『氷河期を生き抜いた狩人 矢出川遺跡』、同089『狩猟採集民のコスモロジー 神子柴遺跡』、同別冊02『旧石器時代ガイドブック』、『冒険考古学 失われた世界への時間旅行』(新泉社)、『列島の考古学 旧石器時代』(河出書房新社)、『遠き狩人たちの八ヶ岳』(ほおずき書籍)、『黒曜石3万年の旅』(NHKブックス)、『シンポジウム日本の細石刃』(編著、八ヶ岳石器研究グループ)、『神子柴』(共著、信毎書籍出版センター)ほか多数。

関連書籍

  • ビジュアル版 旧石器時代ガイドブック
  • 石槍革命・八風山遺跡群
  • 狩猟採集民のコスモロジー・神子柴遺跡
  • 「旧石器時代」の発見・岩宿遺跡FTP